会長挨拶

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 すまいは私たちの生活の場、生きる基本です。また、私たち国民にとって一生で一番高価な買い物でもあります。ですから、住まいがあんしん・安全であることは、誰もの願いです。
 ところが、いままでの住宅はどうしてつくられたのか、どのように修繕をされてきたのかが見えない状況が多くありました。こうした状態では、安心して暮らしていけません。また、修繕をするのも大変でした。まして、他人の使っていた物であればますます情報がなく、不安になり、まだまだ使える住宅を取り壊すことも多くありました。

 しかし、こんなことをしていては私たちの生活は豊かになりません。社会全体が大量消費の使い捨ての時代から、守り育てる時代へと大きく転換が求められています。住宅もまさに同様です。 住宅を単につくるだけでなく、修繕やリフォームといった守り育て、さらにはそこから生み出される多くの情報を駆使しての豊かな生活の実現が求められているのです。その手段として、住宅の生まれた状態(住宅の設計・竣工図)、その後の育ち(維持管理の記録)、現在の状態を示す、住宅履歴情報(いえかるて)は必須です。

 本協議会は2010年5月の設立以来、住宅履歴情報(いえかるて)が、国民の皆さまの豊かな住生活につながるように、活動をしてきているところでございますが、その役割への期待がますます大きくなっております。

 2016年3月に新たな住生活基本計画(全国計画)が発表されました。これは、今後10年の住宅政策の重要な指針となるものですが、日本が直面している少子高齢化・人口減少等の課題を真正面から受け止め、住宅ストックの視点の重視、それを支える産業のあり方を示しております。
 そのなかをみますと、目標1では今までの若年世代の住宅取得は「新築」が中心でしたが、既存住宅をしっかりと流通させ、若年世帯にとって、良質で魅力的な住宅取得の選択肢を増やしていきましょうとあります。
目標2で、自宅という大切な資産を活用し、高齢期の暮らしを豊かにすることを実現しましょう。
目標3で、空き家等を活用し、住宅に困っている方に提供してきましょう。
さらに、目標4では、しっかりと住宅を中古として、市場で循環していきましょう。
目標5は、建替えやリフォームで、安全で質の高い住宅ストックに更新していきましょう。
目標6では、使える空き家は使っていきましょう。
目標7は、強い経済の実現に貢献する住生活産業へと成長していきましょう、とあります。
 とりあげました、すべての目標の実現に、建物の検査、インスペクションと、住宅履歴情報(いえかるて)が必要となってきます。

 この流れに沿う形で、先の国会で、宅地建物取引業法の改正が行われ、建物検査、それだけでは住宅の生まれや育ちが分からないため、住宅履歴情報(いえかるて)の積極的な活用により、安心して、中古住宅を取引することが進められることになりました。
 本協議会でも、これらの大きな流れのもと、インスペクションとの連携事業を進めてきており、独自事業の実施についても新たに計画しています。

 豊かな暮らしを実現に、住宅履歴情報はなくてはならないものとなっております。今後も引き続き、皆様と一緒に、住宅履歴情報の蓄積と活用を推進してまいりたいと思っております。どうぞ、皆様方のご理解・ご協力・ご支援を心よりお願い申し上げます。

2016年6月

一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会会長 齊藤広子
(横浜市立大学国際総合科学部教授)